プラモデルといえばカーモデルやガンプラを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。パーツを切って組み立てるプラモを子供の頃に作って遊んだ経験がある人は多いのではないかと思いますが、実はアレってただ作るだけじゃなくて塗装したり完成度を高めて「作品」とすることで、一定の価値が出てくるのです。
当然ながら市販されているプラモデルに限らず、ファン作成のガレージキットと呼ばれる組み立てタイプのフィギュア、プラモなどにおいてもクオリティの高い作品には驚くような値段がつくことがあるんです。
ここでは副業として夢のあるプラモ・ガレージキット制作についてお伝えしていきたいと思います。
2020/5/19追記
そういえば最近ひろゆき氏がニュース記事でこのような発言をしていたことが模型界隈で話題となりました。
また、前に何かの記事で、プラモデル作りが趣味の人の話を読んだことがあります。プラモデルって、作るのが好きな人もいれば、作ることはどうでもよくて、ただ完成品を並べたいっていう人もいるんですよね。そこで、その人はプラモデルの完成品をネットで売るようになったわけです。
1000円くらいで買ったプラモデルを組み立てて塗装すると、3万円くらいで売れるそうなので、かなり儲けていることになります。
その儲けの一部で新しいプラモデルを買い、その完成品がまた高値で売れて……ということを繰り返しているので、言わば「ゼロリスク・ハイリターン」のおいしいビジネスになってしまっているのです。
今はネットを使えば、割と誰でも簡単に、自分の作品やコンテンツを商品として売り出すことができます。
それが本当に売れるかどうかは、時の運や、世の中のニーズを捉えているかによるでしょう。ただ、ショーケースに並ぶチャンスは、以前よりはるかに多くなっている。そこでは、今まで誰も考えなかったようなことが仕事になることもありうるのです。
出典記事:https://news.livedoor.com/article/detail/18201006/
これはひろゆき氏が又聞きした内容を個人の解釈で無難にまとめていただけなのですが、結構この記事に対するコメントが荒れていました。
どこに引っかかるかというと、「1000円くらいで買ったプラモデルを組み立てて塗装すると、3万円くらいで売れるそうなので、かなり儲けていることになります。」という部分でしょうね。
現実的に考えると1000円のプラモデルを組み立て塗装して3万円で売るにはそれなりの労力・時間・それから設備投資(エアブラシや塗装ブース、ヤスリなどの精密工具、塗装作業ができる部屋)が必要になります。知識や技術がある前提なら話は別ですが、模型に興味のない素人が「よっしゃ、制作代行が儲かるらしいからやるわ!」といって気軽にできるようなことではありません。
現実問題、確かな技術を持ったうえで制作代行をする人は業界的に不足気味です。いわゆるフィニッシャー(彩色師)が不足しています。制作代行にならずとも、腕があれば普通に本業としてメーカーからの仕事を請けることも可能なくらいには人不足です。リモートワークができるという点においても時勢的には悪くないですが、健康には十分注意が必要な仕事といえます。
人不足といってもそこに乗じて中途半端な技術で制作代行やヤフオク・フリマ販売をやろうとするとかなり痛い目を見る可能性が高いです。求めていたものと違った、レベルが低い、お金の無駄…などなど、昨今の塗装済み完成品のレベルの高さに慣れている消費者が多いのでクレーム、トラブルになる可能性は極めて高いといえます。
そのようなトラブルリスクなどを加味した上で儲けているかというと、「…」と閉口してしまう人のほうが多いのではないかと考えられます。
プラモ・ガレキ塗装組み立ての仕事内容
プラモやガレージキットは自分で組み立て塗装が必要ということで、時間のない人や手先が不器用だという人はやりたくてもやりにくい趣味の一つだと思います。
プラモはもともと色が付いているものであれば素組でも楽しく作れると思います。ですが、ガレージキットとなると自分で塗装が必要になるので塗装場所や塗料、エアブラシや筆などの初期投資が必要になるためハードルがぐっと高まってしまうのですね。本格的にやろうと思ったら初期投資額としては大体10万円前後は覚悟が必要です。
なので、かなりディープなファン以外はやらない趣味ではあるのですが、市販品ではまず販売されることのない造形や、キャラものが多数あるため人によってはキットだけをイベントで購入し、塗装組み立ては代行にお願いする…という場合もあるようです。
このガレージキット・プラモデルの組み立て塗装代行(いわゆる制作代行)ですが、モノにもよりますが大体5万~10万前後が依頼の相場となっており、さらに有名だったり組み立て塗装技術の高い人が代行する場合は20万円前後の相場となっています。
また、代行だけでなく自分で好きなキットを組み立て塗装しオークションで販売するという方法もあり、こちらはキットのレア度に作品クオリティの高さを加味した相場が形成されることが多く、平均で3万円前後、高いものだと30万円以上の値段がつくものもあるのが現実です。
※高額落札作品ということで敬意を評して出品者様のIDは表示しておきます
どちらかというとプラモデル完成品よりガレージキット完成品(キャラ物)の方が落札価格が高い傾向にあります。
手描きイラストと同じようにFGO関連やアズールレーン、艦これあたりの完成品は鉄板かもしれません。
平均落札価格を見ても差は明らかですね。ただし、高額で落札される条件は高い組み立て技術と塗装技術の両方が必要になってくるため、素人が今すぐ副業として塗装組み立てができるか?というと難しいと言わざるを得ません。
作品の製作期間は長くて1ヶ月前後ですが、簡単なものであれば1週間もあれば塗装までできてしまいます。逆に複雑なものや修正指示があると2ヶ月~3ヶ月程度は掛かる可能性があります。
プラモ・ガレキ塗装組み立てに必要なものは?
さて、こんな具合でガレージキットやプラモ組み立てを副業で取り組むとなると、一番に必要になるのが塗装ブースや塗装ができる部屋ですね。ラッカー塗料ではなくファレホやシタデルという水性塗料を使って筆塗りをすることもできます。筆塗りでは低クオリティーの作品しか作れないのでは…?なんてことはなく、死ぬほどクオリティの高い筆塗り作品も存在します。が、もはや人間技ではないので素人でも比較的きれいな仕上がりを目指すのであれば、エアブラシと塗装ブースは100%必須です。
まあそうは言っても机ひとつ分のスペース程度があれば組み立て~塗装までできますので、わざわざ塗装部屋を用意する必要はなく、自室にエアブラシと塗装ブースを設置さえすればすぐに始められるかと思います。
代行として行うのではなくあくまでオークション出品を狙うのであれば、何個か安いキットを練習で作ったあとに、全力で作った作品を出品してみると良いでしょう。
ちなみにキット自体はどこで買うかというと、ワンダーフェスティバル(通称ワンフェス)やホビーラウンド、トレジャーフェスタ(通称トレフェス)などのイベントだけでなくディーラーさんの公式サイト、あるいは駿河屋やまんだらけなどの通販サイトでも購入が可能。ただし駿河屋やまんだらけはプレ値としてありえない値段で販売しているので正直オススメしません。イベントで直接買うのがディーラーさんへの配慮にもなります。
ものによってはヤフオクにしかでてこないものもありますが、転売目的でキットを売っている人も少なからずいるため、あまりおすすめはできません
製作の大まかな流れですが、キット購入→下地処理→塗装→組み立て→完成となります。基本的に下地処理がしっかりしていないと作品として良いものができない事が多いため、下地処理は大事です。状況によってはパテで修復・改修する必要が出てくるため、プラモ用のパテなども用意しておくほうが良いかもしれません。
プラモ・ガレキ塗装組み立てのメリット・デメリット
ではここでプラモ・ガレージキットの組み立て塗装を副業とした場合のメリットデメリットを考えてみましょう。
メリット
まずメリットとしては、自分の作品に値段がつくというのが嬉しいところ。自分で作って自分だけが楽しむのもいいですが、客観的な評価をもらうことで更に腕を磨くこともできるわけです。さらにそれが収入にもなるのですから嬉しくないわけが無いですよね。時間がかかってでも完成度の高いキットを組み上げたときの達成感は他では得られないものがあると思います。
デメリット
逆にデメリットとしては、お金のかかる趣味・副業であることです。キット自体が1万円~数万円することも普通ですし、塗装ブースやエアブラシを購入するとそれだけで諭吉5枚~10枚くらいは飛びます。そして取り掛かり始めてから組み上げるまでにかなりの時間と労力が必要ですし、クオリティを高めるための技術も必要になってきます。頑張って組み上げても、そもそも人気のないキャラ(ブームが過ぎているとか)だったりすると、オークションに出してもキット購入分程度の値段にしかならない場合もあります。
あとは塗料やレジンの削りカス、有機溶剤を吸って体調が悪くなったり、手に塗料や接着剤がついたりすることもあるので、食品関係の仕事などをしている方はかなりの注意が必要になります。というか、そういう方がやるのは全くオススメしないです。
プラモやガレージキットの塗装完成品はかなり高額で落札される場合もあるというのはお伝えしたとおりですが、やはり完成度が高いとか、キット自体のレア度が高い、作品(キャラ)の人気が高い、製作者の知名度が高い、など何かしらの要素がなければ難しいというのも事実です。
プラモやガレキの組み立て塗装はいい趣味ではありますが、副業として見ると結構博打だったりするんですよね。自分が好きなキットを組んで出品しても全然売れないとか、売れてもお小遣い程度の金額にしかならない…という人も多くいるはずです。
とはいえ、副業としてやるために売れるキットしか作らない人もいます。ただやっぱりそういうのは少しさもしい感じがしますので自分の感性のまま作っていき、それを客観的に評価してもらうためにオークション出品するというのが無難かなと思わなくもありません。
キット制作にも慣れてオークションである程度の評価を得られるようになったら、次のステップとして製作代行を副業として始めるのも悪くありませんね。
というのも、製作代行ならオークションのように値段にばらつきがなく安定した収益が見込めるから。最近はzbrshなどで原型制作する原型師の方が増えて手原型の頃よりキット自体のクオリティが格段に高まりました。
その反面、組み立ての難易度が高くなり自分では組み立てられないという人も一定数いるのです、新しいキャラやキットがバンバン出るため、製作代行の仕事は常に引っ張りだこになっていて、忙しい人だと半年以上先~3年後まで予約が埋まっていることもザラ。そこで新たに製作代行として参加すれば重宝されることは間違いないです。
なので、ある程度のクオリティが実現出来るという方は製作代行を始めてみるのもありですよ。代行相場は概ね5万円~10万円前後ですが、スケールや組み立て難易度によって異なります。制作代行さんのサイトを見てみるなり「ガレージキット 制作代行」「プラモデル 制作代行」でググって参考にしてみるのが手っ取り早いかと思います。最近ではツイッターで募集をしている方もいるのでそちらでも検索してみるといいかもしれません。
プラモ・ガレキ塗装組み立てのチェックポイント
プラモやガレキの塗装組み立てにおける収入などのチェックポイントは以下の通り。
収入目安 | 1作品平均5000円~3万円程度 |
勤務地 | 自宅 |
勤務時間帯 | 自由 |
勤務曜日 | 自由 |
1回の勤務時間 | 自由(一つの工程を終わらせるのに数時間かかることも) |
資格の要不要 | 不要 |
難易度 | ★★★★★ |
1作品あたりの値段平均としては、概ね5000円~3万円前後かと思います。オークションに出品する際の注意点としては1円スタートか元値より少し上スタートかですね。
1円からの出品だと入札が入りやすいですが、いろいろな要因もあって元値に届かない場合もあります。元値より少し上から始める場合、入札自体はあまり入らないかもしれませんが原価は回収できるので損はしません。
いずれにせよモノのレア度やクオリティなど様々な要因で相場が変わるので一概には言えないのがちょっと難しいところかなとは思います。
また、レアなキットだと自分で保有しておきたいと感じる人もいるでしょうし、出費ばかりが増えてしまう可能性もあります。なので、どうしても手元に置いておきたいものは2個確保しておくのも良いかもしれませんね。
副業プラモ・ガレキ塗装組み立てのおいしく稼げるタイミングは?
プラモやガレキの塗装組み立て自体は流行り廃りがない仕事です。ただ、キットやキャラ自体の流行り廃りはあるので、販売された直後やキャラ人気が絶頂の時に出品すると高値が付きやすいです。
逆に、人気のないキャラや人気が廃れたキャラだとクオリティが高く、原型製作者の人気、キット自体のレア度などを加味して相場が形成されるので思った以上に値段がつきにくかったりします。
上記のことを鑑みてサクサク収入につなげたいなら、原型師の知名度が高くキャラ人気もあり、キットのクオリティも高いものを制作するのが一番手堅いかと思います。考え方としてはかなりゲスいですが…
副業プラモ・ガレキ塗装組み立てに向いている人
ではでは、副業でプラモやガレキの完成品を作るのに向いている人はどんな人か、独断と偏見でまとめてみます。
こんな方におすすめ
- 細かい作品を作り上げるのが好きな方
- プラモやガレージキットに興味がある方
- 元々ある程度作った経験がある方
- 時間が掛かる作業でも丁寧に取り組める方
- 飲食に関わる仕事をしていない方
こういった方にオススメできるかなぁと思いますね。特に本業として飲食に関わる仕事をしている方は、仕事があるときには作業するのは難しいと思います。手袋をした上で作業すれば手が汚れることは減りますが、100%防げるようにするには結構神経を使いますので。
あと、一作品仕上げるのに時間が掛かるので、集中力が持続する方のほうが良いかもしれません。あとは時間を掛けて作った作品でも気軽に手放せる人でないと、変に愛着を持ってしまって手放せなくなってしまいますので注意してください。
まとめ:プラモ・キットの完成品制作は趣味も実益も兼ね備えた副業になり得る!
プラモやガレージキットの塗装組み立てはいい作品ができればかなりの高値も狙える上、自分の作品に値段がついて腕前の証明にもなるため実際に作品をオークション出品している人も少なくありません。ツイッターで作品公開→出品という流れもよく見かけます。
ニッチな作品であればあるほど、どうしても手に入れたいという人がいますから相場も自然に高くなります。
ただ、やはり取り組むのであれば「手軽に儲ける副業」というよりも「作品作り」という気持ちで取り組んだほうが良いかと思いますね。自分の腕を試したいとか、自分でも作ってみたい!という方にこそチャレンジしてみてもらいたいです。