ある程度歳をとってくると、なぜか多くの人は「田舎で農業でもやってのんびり暮らしたい」とか言い出すんですよね。そりゃコンクリートジャングルと言われるほどビルがある都心部や住宅密集地で長年暮らしている人からすれば、田舎は家と家の間隔も広いし緑あふれる自然のなかで暮らすのはある種憧れに近いかもしれませんね。
とはいえ、もともとある程度の田舎で兼業で農業をしている人からすれば、農業だけで食いつなぐのは割りとギャンブルと言わざるを得ません。天候で作物の良し悪しが変わったり、値段が大きく変動するので収入が安定しないのです。また、作るものによっては労力に見合わず買い叩かれたりして、お金にならないこともしばしば…。
というのは当サイトの管理人である副サバが兼業農家の家庭で育っていて、今なおその手伝いをしているからです。
兼業農家といってもある意味農業を副業としてやっているようなものですし、せっかくなのでここで紹介しておきます。
農作業の仕事内容
農作業といっても作物によって仕事内容は大きく異なりますし、その難易度、販売価格なども異なります。ですので、もし副業として取り組むのであれば
- 高単価であること
- 季節に関係なくよく売れるもの
- 比較的労力の少ないもの
- 病気に強いもの
あたりを選んでおくと失敗は少なくなると思います。ぶっちゃけ、野菜を作るのはそれほどの労力を必要としません。雑草を抜いたり肥料をやったり虫がつかないようにしたり、獣避けのネットを張ったり…という作業はあるものの、それらは土日に行い平日は仕事終わりに水やりをするだけ…といった具合でも結構もりもり育ってくれます。
ただし高品質かつ高単価で出荷できるものになると話は変わって、ハウスを用意したり良い肥料を使ったり、しっかりと水をやったり…などかなりの手間、労力、自分なりの研究が必要になってきます。
副業で農作物を作る場合、家庭菜園規模で作ることがほとんどでしょうから主な販売先はJA直売所や道の駅などになるかと思います。大規模に野菜を作っていて安定した供給で品質保証ができる場合はスーパーやレストランなどと直接契約することも可能ですが、副業レベルではかなり厳しいと言わざるを得ません。
JAに出荷する場合は規格外ものもは買い取ってくれませんので、それなりの品質を要求されることになります。
作物を育てる作業だけでなく収穫の作業もありますし、出荷するのであれば出荷作業も必要ですから、このあたりはまとめて時間を作って作業する必要があります。
副業でできる農作業の種類と勤務場所
野菜の場合はほとんどが畑での作業になりますが、果物や栗や梅などの場合はやや小高い丘のような場所での作業になりますね。コメの場合は田んぼになります。
私の実家では野菜は家庭菜園+αレベルで作っていますが、メインはコメです。しかしこのコメ作りは思っている以上に重労働な割に、実入りは少ない(というか赤字)ので正直なところよっぽど良い品質のコメを作れるとか、良い契約を結べた、とかでない限り副業でコメは作らないほうが良いです。作っても自分で食べる分だけにしておいたほうが無難ですよ。
昔は米作りで家が建った(実話)くらいの大きな収入があり、私の祖父も父に農業をしてもらえるよう農大に行かせたくらいですが、コメの単価は年を追うごとに下がり、もうそれだけでは食べていけなくなったので父は大学卒業後普通に就職した…という経緯があったりします。
最初に農家一本はギャンブルと言いましたが、それは近年のコメの価格下落で米農家は趣味でやるレベルにまでに落ちたことからも察せられると思います。
話がそれましたが、農作業における勤務場所(作業場所)は作る農作物によって異なります。野菜であれば畑、果物などは丘、米は田んぼになりますね。
農作業のメリット・デメリット
農作業を副業にするメリットといえば、食べ物を一からつくることができるということでしょうか。
ポイント
生きる上で欠かせない野菜や穀物を自分の手で育て、それを家族や他の人に食べてもらえるというのは嬉しいもの。そういったところに喜びを感じられる人であれば、副業で農業をやってみるのも悪くは無いでしょう。
また、近年は酷暑で野菜価格が高騰することが多く、自分のところでうまく育てば高単価で販売できるチャンスも。
注意ポイント
デメリットとしては、天候に豊作不作を左右されてしまうことでしょうか。それだけでなく販売目的で一から農作業を始める場合、販路を確保するのも大変です。なんとか作物がうまく育ってあと少しで収穫…というタイミングでイタチやたぬき、カラスなどの動物に大事な作物を荒らされ売り物にならなくなる…ということもありうるため、万全の備えが必要という点でも難しいところです。
それだけでなく、中腰の状態で作業することも多いため足腰への負担が大きく歳をとってから頻繁に病院に行く事になったり、痛み止めなどの薬漬けになってしまうことも…。
当然ながら、農作物が販売できても単価が低くてあまりお金にならないケースが多いので、最初は趣味的に行うくらいが精神衛生上良いと思います。
数年続けてどんな作物がよく売れるのか?などを研究していけば、家庭菜園レベルでも大きな副収入につながることも期待できますが、作る作物によっては重労働になることもあるため事前の調査は不可欠ですよ。
個人的には沢山の種類の野菜を売ろうとするのではなく、2~3種類程度に絞って効率的に育成、収穫、販売の流れを作ったほうが確実な収入源になると思います。もちろん実験的に複数作ってみて取り組みやすそうな作物を探すのは大事ですが、あれもこれもやろうとすると失敗の元です。
連作すると出来の悪い作物になるものもあるため、そのあたりも考慮して作らなければならないのも難しいところですね。
農作業のチェックポイント
農作業における収入目安などをまとめました。
収入目安 | 一日0円~1000円 |
勤務地 | 畑,田んぼ |
勤務時間帯 | 早朝~夕方 |
勤務曜日 | 自由 |
1回の勤務時間 | 1時間程度~ |
資格の要不要 | 不要(農作業や販売の知識があれば良し) |
難易度 | ★★★☆☆ |
なぜ収入目安が0からなのかというと、作物が実ってから市場などで買い取ってもらうまではタダ働きだからです。農業は夏や秋など特定の季節にドカッと1年分の収入を得て、あとは無収入という状態が続きます。仮に作物が不作だった場合、ただでさえ少ない収入が更に減ってしまい、生活できないレベルになってしまう事も考えられます。
従って、小規模専業農家はリスクが高く、田畑が小規模なら本業で収入を得つつ兼業や副業として、または自分が食べるだけ作る…という具合にやるのが無難なのです。
とはいえ、需要のある作物を高品質で作れて販路も確保できたという状態であればやらないに越したことはありません。そのような状態が出来上がっているならチャレンジしても良さそうですね。
ただし足腰へかなりの負担があるため、作業後は十分に休息を取ることが不可欠です。
副業の農業でおいしく稼ぐには?
農作業で美味しく稼ごうと思ったら、
- 需要が多く供給が少ない作物を作る
- 一定レベル以上の作物を作る
- 地域特産の作物を作る
- 単価が高い作物を作る
- ネットで農協を介さず直販する
…といった具合に色々と考えなければなりません。ただ、最近ではネット直販で農協などを介さず消費者に直接販売することもできるようになりました(もちろん差別化や売れるための工夫、HPの作成やSNSでの宣伝、ブランド化など必要ですが)ので、必ずしも副業で農業をやって稼げない、というわけではありません。
私も実際にネット直販をやってみようかと考えている状態で、数年掛けてチャレンジしてみたいなぁとは思っています。
とはいえ、色々と事前に調査しておくことが必要なのでそのあたりは慎重にやらないとダメですね。現状ネット直販を行っている個人農家さんは非常に少ないですから、まだまだ参入の壁は薄い状態だと思います。
ぶっちゃけ、農業を行っているほとんどは50代以降の年齢の方々なので、野菜を売るには農協や道の駅を介するのが普通と思っていますからネット販売のライバルにはなりにくいのです。
ですので本気で農作物を売りたいのならネット直販をするのがベターかなという印象です。
副業農作業に向いている人
副業で農業をしようと思っているのであれば、以下のような方であれば副業として農業をやるとうまくいくかもしれません。
こんな方におすすめ
- 農作物を育てるのが好きな方
- ゼロから何かを生み出すことに価値があると思っている方
- PC操作に問題がなく、SNSやWEBサイトを使いネット集客の知識も勉強したいという方
- 農作物を売りに出すことに抵抗のない方
- 戦略的に農業で利益を上げようと思っている方
- 自分の作った作物にこだわりを持ち、付加価値を付けたい方
農業は副業でやってもなかなか稼げないというイメージがありますし、私自身も道の駅やJAに出してもお小遣い程度しか稼げないということはわかっています。
しかし昨今ではネットで消費者に直販するという方法が出てきたため、技術的な壁さえ乗り越えられれば誰でもネット直販が可能になりました。しかも農家のほとんどが50代以上のお年寄りなのでまだまだネット直販をする農家は限られている状態。つまり小規模の副業・兼業農家でも参入の余地はあるのです。
早い段階で参入しておき後発のライバルに圧倒的な差をつけ、参入の余地をなくさせることができれば利益を独占することも不可能ではありません。
まとめ:副業で農業は厳しいがネット直販ができれば利益は未知数
副サバは最初から農業を副業としてやるのは厳しい、というスタンスですがネット直販ができるのであれば話別です。JAに手数料を取られたり足元を見られることがなくなるからです。
また、自分のところこの作物に付加価値を付けられれば相場以上の値段でも購入してくれる人はいます。
一時生産者である農家が大きな利益を出すためには、やはり農作物を自ら消費者に販売していく以外に道はありません。これは専業であっても副業・兼業であっても変わりのないことです。
脳死して販売以降の作業をJAなどに任せるのではなく、自分の頭でしっかりと考えて販路を作ることで利益は生まれるのです。難易度の高いことかもしれませんが、副業としての農業で利益を上げるにはそういった苦労がどうしても必要になってきます。
それができるかできないか?で農業を副業にできるか、それとも趣味で終わるかが決まるでしょうね。