絵が描けるというだけで他の人から羨ましがられると思うのですが、そのスキルを活かしてプロのイラストレーターとして活動したり同人作品を販売して収入につなげている人も多くいます。
とはいえ、一定のイラストスキルを持った人が全て上記と同じような方法で収入を得ているわけではありません。普通に仕事をしてイラストは趣味でSNSにアップしている程度…という人もいるでしょう。
しかしある程度のイラストスキルがあれば趣味で描いていたイラストを収入につなげることも可能です。イラストで収入を得る方法はいくつか挙げられます。例えば以下のような方法が代表的なものでしょうか。
- プロとして働き収入を得る
- 同人作品を作成しイベントやDLサイト、委託販売などを行う
- クラウドソーシングなどでSNSアイコンや素材用イラストを作成し販売する
- PixivのFANBOXやとらのあなのFantiaなどで活動支援してもらう
実はこれら以外の方法として、手描きイラストをオークションで販売するといった方法があります。上述した方法はとっつきにくい…という方でも、手軽かつ自分の描きたいものを描いて収入につなげることが可能です(もちろん実力と継続する努力が必要ですが)。
自分で書いたイラストをヤフオクなどに出品するだけなので、手続きもカンタンですから副業として取り組むのにもマッチしています。イラストで収入を得る方法は複数ありますが、ここでは手描きイラストのオークション販売におけるコツや注意点、売れるイラストと売れないイラストの違いなどについてお伝えしていきたいと思います。
手描きイラストにおけるオークション相場
まず最初に手描きイラストはどこで売るか?なのですが、基本的にはヤフオクで販売することになります。もちろんラクマ、ミンネなどのフリマサイトでも扱いはあるのですが、イラストのレベルが高い描き手はほとんどがヤフオクに集まっています。
なので、必然的に手描きイラストが欲しい人もヤフオクを見るようになり、結果として手描きイラストのほとんどがヤフオクで取引されているのが現状です。
で、重要なのは手描きイラストの相場です。以下のスクショは2018年5月~9月までの4ヶ月間での落札なのですが…
なんと、落札価格上位では数千円どころか20万~30万円もの価格が付いています。(なお出品者のほとんどが同じ人なことに注目)
もちろんここまでの高値をつけるのはイラストのクオリティが高いからというのもありますが、製作者さんに一定のファンがついていることが挙げられるでしょう。
なので、最初からこのあたりの落札価格を目指すのはかなり難しいです。落札価格の平均は5323円となっているので、まずはこのあたりを目標にスタートしてみることをおすすめします。うまく行けば月2~3万円程度であればすぐに稼げるようになると思いますよ。
普段落書きとしてSNSにアップしていたようなイラストに値段がついて作品に昇格したら、自分のやる気や制作にかける気持ちも高まるはずです。
手描きイラストはヤフオク以外で売るな!
上でも少しお伝えしたように、ヤフオク以外でも手描きイラストというカテゴリーで作品を出している人はいます。
クリーマやミンネの場合かなり少ないですが、多少は手描きイラストを制作している人もいますね。ただしヤフオクとは閲覧層が全く違うのか、女性が思う可愛らしさを表現した作品やリアルな動物のイラストなど、割りと小綺麗なイラストを出品している人がほとんど。
女性らしい表現のイラストを販売したい方はこちらを選ぶのが良いかもしれません。ただし、ヤフオクでキャラ物イラストを販売するのと同じレベルの価格にはならず、なかなか購入されないということも考慮に入れておきましょう。
転じてラクマだと美少女版権キャラの手描きイラストが多く、ヤフオクに近い傾向になってきます。制作物のレベルでみると玉石混交という印象ではあるものの、ラクマは画力の高い方が多くそれなりに購入されているようです。
ただし、クオリティがそれなりに高いのにヤフオクと比較するとかなり値段が落ちてしまう(出品者の値付けが安い)のがもったいないですね。ですのである程度のクオリティを担保できるようなら素直にヤフオクに出品した方が明らかに高値になると思います。
二次創作の版権イラストは基本的にグレー
手描きイラストが高値になるというのがわかったら、早速描こう!…とはならないですよね。どうしてかというとやっぱり二次創作(同人作品含む)には著作権関係の問題が存在するからです。
ポイント
著作権は親告罪ですので、権利保有者が「これはダメ!」と訴えない限りは見逃されます。二次創作の作品は膨大にあるので全てを訴えることなどできない上に、訴えたところで大したメリットもなく訴訟費用だけ損してしまうというのも理由の一つでしょう。ですので全て対応しきれない=お目こぼしをもらっているのが二次創作者の現実なのです。
基本的に二次創作の作品は原作のイメージを著しく損ねたり、公式版権グッズに類似するようなものを販売したり、業者として大量出品しない限りは放置されますし、気にもとめられないですので必要以上に心配することもありません。
コミケにせよ二次創作の同人作品にせよ、原作者や権利保有者のおめこぼしにより成り立っていることは覚えておいたほうが良いです。
では版権キャラのイラストをオークションに出すのはどうなの?ということですが、模写やトレースを行うと複製にあたるためNG。可能な限り自分で考えたポージングや構図にし、かつ自分の絵柄で独創性を出せばグレー度は薄まります。もちろんグレーであることに変わりませんが、趣味の範囲や練習として作成し、処分のためにオークション出品という人も多いでしょうから目をつけられることも少ないとは思います。
参考までにヤフオクで出品されている版権イラストを見てみると、版権キャラではあるものの原作とは画風が違ったり、衣装が異なっていたりポージングが今までにないものだったり…と、できる範囲で原作から離れて独創性を出そうとしているように見えます。なので、そういった事も含め版権イラスト作成時は自分なりの画風で作製することをオススメします。
とはいえ、やはり何度も言うように版権イラストの販売は基本グレーなのでこっそりやるのがベターとしか言えません。まあ個人でほそぼそとやっているレベルならしょっぴかれたり警告を受けることはまず無いと思われますが…
(なお、仮に権利者やその弁護士から連絡が来るとしても突然訴えられることはなく、「販売を停止しないと法的措置を取ります」という連絡が最初にきます。そこで誠実な対応を取れば大抵の場合は穏便にトラブルを回避することができます。)
売れるイラストと売れないイラストの違いは?高く売るコツ!
当然ながら売れるイラストと売れないイラストには違いがありますので、このあたりでざっとまとめておきますね。
イラストが上手であるほど高値がつく
これを最初に言ってしまうと元も子もないのですが、イマイチなイラストよりもカッコいい!とかかわいい!と思えるようなイラストの欲しくなりますよね。技術的な問題になるのですが、やはり上手なイラストの方が高値が付きやすいです。
デジタルオンリーの方もこれを機にアナログで練習してみるのもいいかも。
版権キャラは売れやすくオリジナル物は売れにくい
版権モノであっても売れるキャラ、売れないキャラがありますが、それでもオリジナルキャラより版権キャラのほうが圧倒的に売れやすいです。ニッチなキャラであってもコアなファンが入れば買ってくれるからです。しかしオリジナルキャラだと知名度も全く無く、誰も見向きしてくれません(そっくりさんの場合はわかりませんが…)。
オリジナルキャラを販売している人は、ほとんどが最初に版権キャラのイラストでファンを増やしてからオリジナルキャラに移行したパターンです。言い方は悪いですが、版権キャラのほうがユーザーを釣りやすいのですね。
とはいえ、ある程度の知名度になっても版権キャラばかり作製していると、おめこぼしをもらえなくなるかもしれません。そこでオリジナルキャラのイラストに移行する…という人も出てくるのです。
知名度のあるイラスト制作者さんには固定ファンがついているからオリジナルキャラでもそれなりの値段で購入されるのです。なので、間違っても初心者の頃からオリジナルキャラで勝負とか無謀なことはしないほうがいいです。
人気版権キャラに絞って制作する
版権キャラであっても人気や不人気は当然あります。なので、何でもかんでも自分の好きなキャラを描いて売れるわけではありません。ツイッターなどで最近のトレンドキャラや人気作品を押さえておくことも一つのポイントでしょう。もちろん、オークション内で売れている作品の傾向を掴むのも忘れてはいけません。
例えば人気の絶えない「艦これ」や「FGO」、「アズールレーン」はコミケやワンフェスなどでも延々と新規作品が出続けているコンテンツですので無難にこのあたりのキャラを描いてみるのも良いかもしれません。
2018年9月のヤフオクの「手描きイラスト」カテゴリー内での傾向だと、「涼宮ハルヒ」や「セーラームーン」「東方」あたりが高額化していますが、なぜかその約8割はハルヒのイラストでした。
2003年から続くかなり息の長い作品ですが、2011年以降7年近く新作がでないのでその隙間を埋めるために手描きイラストをあさっているファンもいるのかもしれません…。
かっこいい・かわいいよりも美少女版権キャラのセクシーさ(エロさ)を優先する方が売れる
高値で落札されたイラストのほとんどが、セクシーさ(エロさ)を全面に押し出した手描きイラストでした。版権キャラの普通のポーズ、普通の服装、普通の構図…というイラストの場合、良くて1000円~2000円あたり。その価格帯でもセクシーさを全面に出したイラストが多いので、基本肌の露出多めのイラストが好まれる傾向のようです。
注意ポイント
セクシーさといってもただ肌が露出されているだけでなく、構図や服装(水着やウェディングドレス等)色々と工夫する必要があるため、最初はなかなかコツが掴めずイマイチ高値で落札されない状態が続くかもしれません。ちょっと服の位置がずれたらカテゴリーを変更しなきゃいけないような際どい格好やポーズのイラストのほうが高値が付く傾向のようですね。
当然ながらそっち方面のカテゴリーでも手描きイラストの出品はありますので、得意な方で描いてみるのも悪くはないでしょう。ただアダルトカテゴリーの場合は出品数が通常カテゴリーより大幅に減るため、ライバルが少なく入札が入りやすいかもしれません。
男性をターゲットにしたほうが売れやすい
ヤフオクで手描きイラストを購入するのはほとんどが男性ですので、男性が好みそうなイラスト(つまりはセクシー系)を描くほうが値がつきやすいです。
肌の露出を増やしたり、表情を工夫したり、衣装を凝ったものにしたり、肉感を強めたり…など自分なりに創意工夫してみるのもいいと思います。どうでもいいのですが、ハルヒのかなり際どいイラストを描いていて高額落札されている製作者の方なんですけど、SNSまでたどってみるとどうも女性っぽいのがちょっと驚きです。女性でも割りと男性向けの際どいイラストをホイホイ描くのかなと驚きました。
コピック・色鉛筆・水彩絵の具などの手描きイラストは1点物で希少性が高い
手描きイラストが高額化する理由の一つとして、1点もので希少性が高いということも挙げられるでしょう。
大抵の出品者の方は「SNSやホームページ等でイラストを使用する場合があります」と注意文を出品ページに掲載してはいるものの、実際にアップされているケースはざっと見たところありませんでした。
また、手描きイラストは色紙・イラストボード・ケント紙などにコピックや色鉛筆、水彩絵の具等を使って時間を掛けて制作するため同じものを複数制作することは困難です。コピーすれば同じものを複製できるデジタルイラストと違い、手書きには手描きならではのタッチがあり、これをスキャンしても手で描いたものとは別物になってしまうんですね。
なので文字通り1点ものとなってしまうため希少性が高いのですね。デジタルイラストが全く売れないのは希少性もなく好き放題コピーできるから。マニアックな方ほどそのあたりの事情をよくわかっているため、オークションでは手書きイラストの方が結構な値段で落札されるのです。
サイズはA4,色紙などあるがあまり関係はない
用紙サイズが大きいほど価格も上がるのかというと、意外と相関性はなくA4でも色紙サイズでも割りと同じような価格になったりしますので、大きい用紙に書かなければならないという決まりはありません。
ただ、大きい用紙の方が表現の幅が広がるため、値段も上がるかもしれませんね。
手描きイラスト作製に必要なもの・素材
さて、ここまで手描きイラストをヤフオクに出すときのポイントについてお伝えしましたが、制作に必要なものもチェックしておきます。
イラスト用紙
画材
コーティング剤
参考書
概ねこれらを活用すれば手描きイラストは作成できますが、もともとある程度絵が描けることが前提条件ですので、割りとハードルは高めかもしれませんね。
しかしながら割りと夢のある副業にもなり得るため、チャレンジしてみるのも悪くはないと思います。
手描きイラストの販売を副業としてオススメできる人
さて、長々と手描きイラストに関する情報をお伝えしてきたのですが、最後に手描きイラストの副業がお勧めな方についてまとめておきます。
こんな方におすすめ
- 手描きのイラストを販売したい方
- 落書きを作品に昇華したい方
- ある程度グレーゾーンだということはわかっている方
- 自分なりの画風がすでに出来上がっている方
- 地道に制作活動ができる方
手描きイラスト作成はあくまでも副業・趣味として細々やっていくというスタンスがベストです。割りと人気のある方でも一度に出品する作品は1個までという方が殆どで、まとめて出品することはまずありません。
それはもちろん自分の作品の希少性を高めるという意味もあるでしょうし、権利的なアレを避けるという意味もあるでしょう。
なので、まずは一度自分の作品のクオリティやテクニックでどのくらいの値段がつきそうか?を過去落札履歴から推察してみるのもありかもしれませんね。
手が早い方であれば価格が少々低くても数を出すことで、ある程度の利益につなげることもできるはずです。
まとめ:手描きイラストは描きたいものが描けて収入に繋がる可能性も
同人界隈は割りとグレーで成り立っているのでおおっぴらな副業とは言いにくいのが現実ですが、手描きイラストのオークション出品も同じことが言えます。
とはいえ、公式ではありえないようなポージングや服装、パロディ、画風ができるのが二次創作の面白みでもあり、クリエイターとしてはそういった活動を通じて自分なりの作風を身に着けていくものだと思います。そこに対価が加われば活動の幅も広がります。デジタルばかりの人はアナログの練習にもなりますしね。
ただ、何度も言うように手描きイラストはグレーですので、仮にSNSで多少フォロワーのあるアカウントを持っていても公に手描きイラストを出品しているとは言わないほうが無難。
両方やるのであれば、ヤフオク用とその他表向き用でアカウントやプロフィールを完全に分けたほうがいいでしょう。いずれにしても、イラストを描く方であれば自分の描いたイラストで収入を得るという経験を一度はしてみて欲しいと思います。
余談:ヤフオクへの出品はヤフープレミアム会員登録した方がいい理由
余談ですが、ヤフオクへの出品はヤフープレミアム会員への登録が必要です。プレミアム会員は毎月会費として498円が必要で、これが嫌でプレミアム登録をしない人は多いと思います。
ヤフオクに出品する場合はスマホだとプレミアム登録しなくても出品が可能ですが、制約があります。
- オークション期間が1日だけ(プレミアムだと最長7日間)
- 再出品手続きが手動で(プレミアムだと自動)
- 着払い出品ができない
- 落札の際のシステム利用料が10%(プレミアムは8.6%)
- 即決価格設定ができない
概ねこんなところですが、オークション期間が1日だけだと多くの人に見てもらえず値段が上がりにくいです。なので、高額になり得る物品でも安値で渡すことになってしまうケースも考えられるのですね。
なので、手描きイラストを本格的に出品してみようと思ったらプレミアム会員には登録しておくほうが無難です。月額利用料のもとを取ってやろうと思ったら、それ以外にも色々と不要なものを出品するというのもおすすめですよ。